湖と山に包まれた、静かな時間を過ごす奥日光の旅

日本を代表する旅先のひとつ・日光。徳川家康を祀る日光東照宮を中心に、山岳信仰をルーツにもつ社寺仏閣が並ぶ一帯は、古くからの歴史をいまに伝えている。一方、少し足を延ばせば、滝や湖、湿原といった豊かな自然が広がり、四季折々の風景が訪れる人を魅了する。「祈り」と「自然」が共存し、日本の精神文化が息づく日光を訪ねる1泊2日の旅。
日光エリアの奥深さに触れる
豊かな自然と歴史が調和する日光エリアに佇む「フェアフィールド・バイ・マリオット・栃木日光」。世界遺産である日光東照宮や社寺群へのアクセスも良好だ。
09:00 東京駅
11:00 そば処 報徳庵
12:00 日光東照宮
13:30 滝尾神社(日光二荒山神社別宮)
14:00 憾満ヶ淵
15:00 日光茶寮
16:15 五十嵐漆器
17:30 フェアフィールド・バイ・マリオット・栃木日光
Day1 総移動距離 176.2km
Day1 合計移動時間 約3時間 30分
1999年に「日光の社寺」のひとつとして世界遺産に登録された東照宮。創建は江戸時代の1617年だ。周辺には貴重な歴史的建造物が集まっており、まるでタイムトリップしたかのような景色が広がる。古くは奈良時代にはじまったと伝わる日光の歴史に想いを馳せながら、散策する1日。
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約2時間
東北道から日光宇都宮道路へと車を走らせ、山の都・日光へ向かう。
杉並木の里で堪能する味「そば処 報徳庵」
日光産そば粉の手打ちそば
日光に到着した頃にはもうお昼前。これからの散策に向けてランチに選んだのは「そば処 報徳庵」。有名な杉並木街道の近く、杉並木公園の古民家がそれだ。日光連山の雪解け水を集めた大谷川が近くを流れ、水源豊かな名水の地でもある。日光産のそば粉を使った出来立ての手打ちそばが味わえるとあれば、おいしくないはずがない。
早速、「天ざるそば」を注文。のどごしのよいそばがするりとのどを通る。揚げたての野菜の天ぷらもまた格別だ。古民家の落ち着いた雰囲気もいい。時間が過ぎるのを忘れてしまいそうだが、次の目的地へと向かおう。
徳川の威光が宿る世界遺産「日光東照宮」
極彩色の彫刻が彩る社殿群
日光に来たなら外すことができない「日光東照宮」。江戸幕府を開いた徳川家康を祀る神社で、1617年に創建された。三代将軍徳川家光の時代に現在の豪華な社殿群が整えられ、極彩色の彫刻や装飾で知られる。日光の社寺のひとつとして世界遺産にも登録されている。
広い境内に足を踏み入れると、「見ざる・言わざる・聞かざる」で知られる三猿の彫刻をはじめ、極彩色の彫刻や金箔で彩られた華やかな建築が目に入る。その壮麗な姿からは、徳川家の威厳が感じられる。
拝殿の奥から石段をおよそ200段登ると、「奥社宝塔(おくしゃほうとう)」にたどり着く。ここは東照宮の境内の中でも最も神聖な場所とされ、徳川家康の遺骨が納められている青銅製の宝塔が静かに佇んでいる。周囲は杉の森に包まれ、境内の中でもひときわ厳かな空気が漂っていた。
森の奥に佇む日光二荒山神社の別宮「滝尾神社」
願いを占う運試しの鳥居
煌びやかな「日光東照宮」をはじめとした社寺エリアを少し離れ、さらに森の奥へ進んだ先にある「滝尾神社」。世界遺産・日光の社寺を構成する社寺のひとつで、日光二荒山神社の別宮にあたる。創建は820年頃と伝えられ、弘法大師(空海)が日光を訪れた際に創建したとされている。御祭神は田心姫命(たごりひめのみこと)で、縁結びや子宝、女性守護の神として信仰されてきた。自然と信仰の気配が色濃く残る、静かな聖域として知られている。
境内には、願掛けや運試しの信仰が残る「運試しの鳥居」がある。鳥居の上部に小さな穴があり、石を三回投げて、そのうち一つでも入れば願いが叶うといわれている。現在は備え付けのボールで挑戦できるようだ。実際に試してみたものの、なかなか入らない。どうやら、自分の願いが叶うのはもう少し先になりそうだ。
約15分
日光東照宮の入口に架かる「神橋」を通過し、大谷川に沿う道を車で走らせる。
数えきれない地蔵の風景「憾満ヶ淵」
大谷川沿いに続く祈りの風景
次に向かったのは、大谷川沿いの渓谷にある「憾満ヶ淵(かんまんがふち)」。遊歩道には、数多くの地蔵が並ぶ「化け地蔵(並び地蔵)」があり、日光を代表する風景のひとつとして親しまれている。これは江戸時代に僧・晃海大僧正(こうかいだいそうじょう)が供養のために建立したと伝えられ、訪れる人々にここが祈りの場であることを教えている。
「化け地蔵」という名は、70体ほどの地蔵が並び、「数えるたびに数が違う」といわれることに由来するとされる。地蔵は子どもの守護や旅の安全を祈る信仰の対象であり、苔むした姿がこの場所に独特の趣を醸し出していた。
静かな空間で味わう岩茶と甘味「日光茶寮」
伏流水で淹れる岩茶と甘味
観光名所を巡り歩き、少し疲れた足を休めようと立ち寄ったのが「日光茶寮」。日光八景のひとつ「小倉春暁(おぐらのしゅんぎょう)」の地にあり、観光客でにぎわう日光駅から車で数分とは思えないほど、落ち着いた空間が広がっている。
注文したのは、青茶(烏龍茶)の石鎖雲岩茶(せきさうん)と、店で一番人気だという絹フロマージュのデザートセット。石鎖雲岩茶は、樹齢30年以上の均質に育った茶樹の葉を用い、伝統技法にのっとった「炭培」と呼ばれる焙煎を施した高級岩茶だ。スタッフが席で丁寧に淹れる準備をしてくれ、飲み頃になるのを待って口に含むと、茶葉の豊かな香りが広がる奥深い味わいだった。
店で提供される水には、敷地内の地下40mを流れる日光連山の伏流水から汲み上げた日光霊泉「東照水」を使用している。無料でペットボトルで持ち帰ることができるのもうれしい。旅の途中に、ゆったりとした時間を過ごすことができた。
日光彫の技に触れる「五十嵐漆器」
五十嵐漆器で出会う職人の手仕事
市街地に戻り、訪れたのは日光駅近くにある日光彫を手がける漆器店「五十嵐漆器」。盆や皿、箸、アクセサリーなど、日常使いできる漆器を制作・販売している。日光彫は、江戸時代初期に日光東照宮の造営に関わった彫刻師たちの技術を背景に生まれたとされる伝統工芸で、木地に独特の「ひっかき刀」と呼ばれる彫刻刀で文様を彫り込み、漆を施して仕上げるのが特徴だ。
店内では、職人が実際に作業している様子を間近に見ることができる。作業していた山本さんは、美大を卒業後に地元の栃木へ戻り、日光彫に惹かれて彫り職人を志したという。まだ2年目ながら、店主の宇塚さんは「日光彫で重要かつ難しい技である『返し彫り』をすでに習得していて、期待のホープです」と目を細めて話してくれた。
店では日光彫体験も行っており、気軽に申し込むことができる。熟練の技を間近で見ることができ、伝統工芸の魅力に触れる貴重なひとときとなった。
旅の夜に、もうひとつの日光と出会う「フェアフィールド・バイ・マリオット・栃木日光」
宿で得た新たな視点と、奥日光への期待
「フェアフィールド・バイ・マリオット・栃木日光」にチェックイン。ホテルスタッフと今日訪れた場所の話をしていると、スタッフが日光について丁寧に案内してくれた。日光東照宮のような名所にとどまらず、まだ知らない見どころをいくつも教えてもらい、その引き出しの多さに驚く。実際、訪れてから日光の魅力を発見して延泊する宿泊客も少なくないという。
自分もまだ旅は始まったばかりだが、歩くほどにこの土地に引き込まれていくのを感じている。そこにスタッフの言葉が重なり、期待はさらにふくらんでいく。明日は奥日光へ。手にした情報を頼りに、新たな景色に出会うのが楽しみだ。
マーケットプレイスで購入した、奥日光・戦場ヶ原の天然水を使った地ビール「日光いろは」と、日光霧降高原・大笹牧場の希少なブラウンスイス牛の生乳を使った「ブラウンスイスアイスクリーム」。客室で土地の恵みを味わいながら、夜はゆっくりと更けていった。